逮捕歴・犯罪歴の報道の検索順位を下げる逆SEOとは
過去に逮捕・起訴された人たちが更生や社会復帰を目指すうえで、ネット上の情報がネックになることがあります。 また、逮捕容疑に事実誤認があった等の理由で不起訴になった場合でも、逮捕時の報道が消されずに残ってしまうことが多いです。 いずれにしても、GoogleやYahoo等で名前検索(エゴサーチ)を行ったときに、過去のニュース記事が上位に表示される状態が続きます。 この検索状況への対応策としては、「逆SEO」という選択肢が考えられます。 逆SEOとは、センシティブな個人情報や誹謗中傷の検索順位を下げる取り組みです。
消えずに残る「デジタル・タトゥー」
実名報道
警察に逮捕されると、多くの場合はメディアで報道されます。 日本では、未成年でない限り、実名で報道することが原則になっています。 新聞やテレビが逮捕記事を流し、それがヤフーなどのポータルサイトやニュースサイトに転載されます。
小さい事件でも地方紙に
小さな事件であっても、共同通信や時事通信などの通信社によって記事が配信されます。 地方紙や地方テレビ局がネットにアップすることで、全国の人たちの目に届くようになるケースも多いです。
Twitterや個人運営ブログに転載・拡散
さらに、事件のニュース記事は、2chなどの掲示板やブログ、twitterなどのSNSに転載され、拡散してしまいます。 それらの記事や書き込みは、削除されない限り、ネット上にいつまでも残り続けます。
新聞やテレビは削除するが・・・
新聞やテレビなどの大手マスコミは、一定の年月がたつと、大半の記事を削除します。 しかし、記事をコピーした掲示板やブログ、まとめサイトなどは削除しないケースも多いです。
海外サーバー問題
とくに海外サーバーを利用しているサイトは、日本の弁護士による法的手続きから逃れることが可能になっています。 その結果、逮捕されたという過去が消えずに残存することになります。「デジタル・タトゥー(入れ墨、刺青)」とも呼ばれています。
判例サイトが急上昇
「大判例」のような判例サイトが、エゴサーチで急上昇することもあります。 数十年以上の前の判決文が突然、個人名の検索結果の1位になり、信用問題に発展するケースも増えています。
再就職や社会復帰に支障
GoogleやYahooで名前を検索したときに、上位に逮捕歴が表示されていると、再就職が困難となり、社会復帰に支障が出かねません。 検索エンジンに対して、検索結果から削除するよう依頼することもできますが、 拒否される場合が多いです。そこで、過去のニュース記事が出てこないように、逆SEO対策(リバースSEO)を行うという選択肢が出てきます。
検索順位を下げる
逆SEOとは、逮捕歴・犯罪歴・前科などのネガティブな記事の検索順位を下げる対策です。 逆SEOには独特な技術とノウハウが必要になるため、専門業者に依頼する人が多いです。
逮捕歴・犯罪歴の逆SEOの注意点
違法な手段を絶対に使わない
当たり前のことですが、逮捕歴・犯罪歴の逆SEOを行うにあたっては、違法な手段を決して使わないことが重要です。
「前科隠し」として炎上しないようにする
逮捕歴や犯罪歴の逆SEOに対しては、社会の目はたいへん厳しいです。 無意味で不自然なブログを多数立ち上げるなど、ナンセンスな対策をしていると、 「前科隠し」として糾弾され、炎上することになりかねません。 ネット上の常識やルールに反しないようなやり方で、対策を進めること重要です。
検索結果の削除裁判
犯罪歴や逮捕歴をめぐっては、削除を求めて裁判を提起する人も増えています。 ただ、Googleなどの検索エンジンを相手取った裁判では、原告が敗訴する事例も少なくありません。
性犯罪(児童買春)の逮捕歴の例
最高裁でGoogle勝訴
児童買春で逮捕されたある男性は、Googleの検索結果からの削除を求める訴訟を起こしましたが、 最高裁は2017年1月、訴えを却下しました。 原告は、女子高生と援助交際をしたとして逮捕され、児童ポルノ法違反で罰金50万円を払ったという過去がありました。
振り込め詐欺の前科
詐欺の前科報道も、 裁判で争われるケースが増えています。 最高裁は2018年1月30日、振り込め詐欺で有罪判決を受けた男性がGoogleに削除を求めた訴訟で、 訴えを却下しました。 この男性は執行猶予も終えており、かつ猶予期間が満期を迎えてから6年たっていましたが、 削除は認められませんでした。
「公共性」対「プライバシー保護」
こうした裁判は、「公共性」対「プライバシー保護」の争いになります。 ネット検索を通じて、過去の犯罪情報を知らしめることは、「公共性」があると考えられています。 一方で、逮捕歴や犯罪歴、前科は、その人の「プライバシー」だと考えられています。 そのうえで、どちらが重視されるべきかを比較して、裁判所が判断を下すことになります。 例えば、児童に対する強制わいせつの犯罪者は、再犯の恐れがあると考えられており、 実名で情報を残しておくことは、公共性が高いと判断される傾向があります。
忘れられる権利
日本の司法では、ヨーロッパのような「忘れられる権利」というものは本格的には採用されていません。 日本の最高裁は、従来のマスコミ(報道機関)による犯罪報道と同じような枠組みで、 「プライバシー保護」という観点からネット上の犯罪情報をとらえているようです。